2005~08年にタンザニアで仕事した後、2010~12年に計1年、調査のためにタンザニアに滞在しました。2014年10月からダルエスサラーム大学政治行政学部で教えるためにタンザニアに戻ってきました。darはダルエスサラーム、journalは日記という意味です。イギリス留学についてはブライトン・ジャーナル(brightonjournal.blogspot.com)をご覧ください。

Sunday, December 04, 2011

TEDxDar 2011②

TEDxDar 2011の続きです。まずはこのイベントのことを教えてくれた国会議員、ジャニュアリ・マカンバ(January Makamba)さんの講演。彼はアメリカに長く滞在していたこともあり、私がインタビューした議員の中でも特にシャープで、欧米の大学か研究機関のリサーチャーと話をしているような感じでした。

マカンバさんは「同一性(sameness)」をテーマに、最新の統計データを使って、今の平均的なタンザニア人女性(架空のこの女性の名前はザワディ)がどういう生活を送っているかを説明した後、タンザニアの上位20%の平均的な女性(名前はヴァネッサ)と比較しました。

ザワディは17歳で、村の泥壁の家に住んでいて、中学校には行っておらず、井戸に水を汲みに行きます。携帯電話を持っておらず、移動はほぼ徒歩で、肉や魚はめったに食べません。19歳で結婚し、19.5歳で最初の子どもを産み、36歳で最後の子どもを産みます。

一方、タンザニアの上位20%の平均的な女性ヴァネッサは、ザワディと同じ17歳ですが、都市部に住んでいて、大学まで進学することができ、家に水道が通っていて、ペットボトルの水を飲んでいます。日々の移動はほぼ車で、78%の確率で農業以外の仕事に就き、携帯電話を持っていて、よく肉や魚を食べています。23.2歳で結婚し、23.5歳で最初の子ども産み、32歳で最後の子どもを産みます。

子どもを産む年齢を比べると、ザワディの方がヴァネッサよりも子どもを産む年数が長いことがわかります。また、ザワディは自分が希望するよりも多くの子どもを産み(希望:4.7人、実際:5.5人)、ヴァネッサは希望するより少ない人数の子どもを産みます(希望:3.7人、実際:3人)。

マカンバさんは、ザワディがヴァネッサのような生活を送ることはできるのか?エネルギーや環境などを考えると、持続可能なのか?この講演に来ている人たちは自分も含めて、ヴァネッサのような生活を送っているけれど、私たちはザワディのために生活レベルを下げるべきなのか?といった倫理的な問いを投げかけました。(くわしくは、彼が発表で使ったパワーポイントをご覧ください。)

ザワディとヴァネッサの違いは、このあとの講演でもたびたび言及されました。私も貧富の差について考えるときに、自然とザワディとヴァネッサに置き換えて考えたりしています。

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