2005~08年にタンザニアで仕事した後、2010~12年に計1年、調査のためにタンザニアに滞在しました。2014年10月からダルエスサラーム大学政治行政学部で教えるためにタンザニアに戻ってきました。darはダルエスサラーム、journalは日記という意味です。イギリス留学についてはブライトン・ジャーナル(brightonjournal.blogspot.com)をご覧ください。

Thursday, December 15, 2011

TEDxDar 2011④

TEDxDarの続きです。年配の講演者のお話もよかったです。

1968年のメキシコシティ・オリンピックで、途中で転倒して膝を脱臼しながらも最後まで完走したマラソン選手、ジョン・スティーブン・アクワリ(John Stephen Akhwari)さん。彼はマラソンを始めた子どもの頃から、オリンピックに行くまでを話しました。オリンピックで怪我をして最下位でゴールした後、「どうして途中でリタイアして膝の手当てをしなかったのですか?」とインタビューで聞かれて、「タンザニアはレースを始めるために私をメキシコシティに送ったんじゃない。レースを終えるために送ったんだ(My country did not send me to Mexico city to start the race. They sent me to finish)。」という彼の名言が出てきたときには、参加者は立ち上がって拍手を送りました。

1963年に「ムペンバ効果」と呼ばれる発見をしたエラスト・ムペンバ(Erasto Mpemba)さんの話も良かったです。ムペンバ効果とは、熱い水の方が冷たい水よりも早く凍ることがあるというもので、彼は中学生のときに、学校の冷凍庫に牛乳を入れてアイスを作っていて、室温の牛乳よりも、沸騰させた熱い牛乳の方が早く凍ることを発見しました。物理学の先生に言っても信じてもらえず、その後ダルエスサラーム大学の先生が実験して確かめ、1969年にムペンバさんとその先生はこの現象について学術誌に発表しました。なぜ熱い水の方が冷たい水より早く凍るのか、いろいろ説明はあるようですが、まだ科学的に証明されていないようです。

イベントの最後は、ビ・キドゥデ(Bi Kidude)さんの歌でしめくくりでした。以前ブログで、NHKの番組を紹介しましたが、キドゥデさんは、推定95歳、ザンジバルのターラブという音楽の歌手です。ランチの時間に、奥のテーブルに座っているキドゥデさんと目が合ったら、「ンジョー(Njoo)(こっちに来てという意味)」とおっしゃるので、ご挨拶してきました。日本人で目立つと良いこともあります。以前のブログに「こういうおばあちゃんを目の前にしたら、びくびくしてしまいそう」と書きましたが、あたたかい方でそんなことはありませんでした。他の参加者にも声をかけたり、写真撮影に応じたりしていました。キドゥデさんの歌声を聞きながら、キドゥデさんが生きてきたザンジバルやタンザニアの時間の流れに思いを馳せて、贅沢な時間が過ごせました。

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